タトゥーで人を殺す。

リンカーン・ライムの新作がやっと手に入った。「スキン・コレクター」だ。相変わらず、ずっしりと持ち重りするんだよね。こういうときなんだ、いつもわくわくして、心が躍るのは。じっくり座り込んで、早く読んでしまえばいいのに、本を抱えてあっちへうろうろ、こっちへうろうろ。

 いつもの通り、殺しのシーンから幕が開く。薄暗い地下の倉庫に荷物を取りに来た女が一人、なんとない不安に襲われる。地下室の奥のほうに、小さなドアが一つあるのだ。こんなものがあることに気付かなきゃいいのに、気づいたばっかりに不安に襲われる。おなじみの展開だね。

 それはそうとニュースを一つ。幕開きから、リンカーン・ライムが失望している。あの、あのウォッチ・メイカーが獄死したのだそうだ。しかし、これ、本当の獄死なのかねえ、なんて考えているうちに、女が死ぬ。タトゥー・ガンという刺青の用具で、悶え苦しみながら死んでゆくのだ。この犯人のどこがどう、ボーン・コレクターと絡んでくるのだろう?

 なんて想像をたくましくしているうちが、多分、花なんだろう。

 

リンカーン・ライム、再び!

九州の友人から電話があった。リンカーン・ライムが大好きな男で、新作の「スキン・コレクター」がいつ翻訳されるのかという問い合わせだった。

これはもう、出版元の文藝春秋社に訊くよりないのだが、その前の作品、「ザ・キル・ルーム」の翻訳がまだ出ていないのだから、たぶん、「スキン・コレクター」は来年の暮れになるだろうと答えておいた。

 

しかし、ジェフリー・ディーヴァーの翻訳は、なぜこんなに遅れるのだろう。一年一作を厳守しているのだろうか。

 

リンカーン・ライムが戻ってくるぞ !

最近、いやなニュースばかりで真っ暗けだったのだが、やっと、希望が持てそうになってきた。

リンカーン・ライムが戻ってくるらしい。去年、第十作の"THE KILL ROOM"が出たばかりだから、ここ二、三年は新作にはお目にかかれないと思っていたが、続けざまの第十一作が出るそうだ。しかも、例の<ボーン・コレクター>に触発された連続殺人鬼が相手というのだから、誰だって、わくわくするだろう。タイトルは "THE SKIN COLLECTOR"。

ボーン・コレクター>とどんな風な関連があるのだろう?

無論、ジェフリー・ディーヴァーのことだから、その辺の語り口にそつはないだろう。

死体に謎の文字が残された被害者が相次ぎ、最後はライムの命まで狙われるという、これはもう、取ってつけたような、お定まりの筋書きだが、やはり、ジェフリー・ディーヴァーのことだから、気が抜けるような失望感は味合わずに済むと思う。

ああ、待ち遠しいなあ~。

アメリカ版は5月13日発売だが、イギリス版は5月8日に出るという。早速、イギリスの友人に無理を言ったから、5月の中ごろには手に入るはずだ。多分、しばらくは楽しい思いをさせてくれると思う。

しかし、情けないなあ。本格推理小説も選りすぐりのハードボイルドも、昭和という時代とともに、遠い夢のかなたに消え去ってしまった。いまでは、ジェフリー・ディーヴァーあたりにわずかな夢をつなぐだけだなんて、ああ、長生きなんてしたくなかったなあ。

昭和を暮す。

初めまして。ドーヴァー警部と申します。

京都は洛北の地、清滝の片隅で昭和を暮しています。

電話もない、テレビもない、ラジオもない、エアコンもない、ないない尽くしの生活です。無論、スマホなどあるはずもない。しかし、貧乏生活を誇りにしているのではありませんよ。自ら好んで、この状況を作り出しました。昭和の初期はこうだったなあという感じです。

住み着いて早や一年半。何の不自由も感じていません。それどころか、いろいろと再発見が多く、びっくりしています。

建物は築六十年余の古家ですが、日ごろの手入れが良いせいか、いまだに建付けもよく、雨戸だって、サッシなど一枚もないのですが、隙間風など入ってきません。だが、漆喰と木材で作られた日本古来の家はそれ自体、呼吸しているんですよね。無理に呼吸を止められれば、たぶん、死んでしまうのでしょう。

そんな昭和の生活は快適そのもの。何の不満もありません。いや、生きていられることを楽しんでいるのです。

いや、長くなりました。いろんな再発見のことは、また、機会があれば、また書くことにしましょう。

                       ドーヴァー警部